別所 実際に行動を起こしてみると、頭の中で考えていた時には思いもしなかった出来事が起こるものなんです。
横浜のみなとみらいにショートショートフィルムの専門映画館「ブリリア ショートショートシアター」を作った時の話ですが、当初はある程度若い世代や、映像クリエイター志向の方々を対象にしていたつもりだったのが、いざ蓋を開けてみたら、映画がまだキネマと呼ばれていた頃の昔の映画好きの人たちも大勢やってきてくださったんです。60代や70代の方々がご夫婦で来たり、孫を連れて来たりするんです。
これは考えていただけでは気づかず、実際に行動を起こしてみてはじめて分かったことでした。つまり物事にはいろんな可能性があって、実際に行動することでその存在に気づくものかもしれません。
柿沢 いろんな商売に共通しますが、お客さんの中に答えがあるんでしょうね。自分の意図を押しつけるのではなく、お客さんのニーズにもしっかり把握して考えたもののほうがやっぱり喜ばれますね。
別所 自分がやろうとしていることを理解してくれる人にだけわかってもらえばいいやと割り切ってしまうと、どうしても閉じた物を作ってしまいます。
そんな時には、その分野の専門的知識を持たない普通の人の声に耳を傾けることも重要です。そうしたピュアな発想が加わることで、一つ上のレベルに上がれることがあるんです。
こちらのことを殆ど知らない人は先入観がないため、意見にゆがみがありません。そうした相手とキャッチボールするうちに、本当に自分がやるべきことが見つかる場合もあるんです。ヘタに知っていると小さくまとまって終わりかねませんが、知らないことによって逆に夢の地図を大きく描ける場合もあるんです。