好きなことを受け手として楽しむこともできますが、敢えてその与え手として身を投じるのはなぜですか?
別所 自分が表現したことが誰かに伝播して、その人の人生観に変化をもたらしたり、その人の喜びに変わってくれることが自分自身の喜びだと感じるからです。
英語に“If you go fast, go alone. If you go further, go together.”(「早く行きたいなら一人で行け。遠くに行きたいならみんなで行け」)という言葉があります。何かを見つけて、そこに早く行きたい時もありますが、同じ目的をもって仲間とともに遠くを目指さなきゃならない時もあります。
好きなことをやれば成功できるかと言えば、決してそうではありません。自分が発信したものが誰かに受け継がれ、誰かによって広められ、誰かに喜びに感じてもらえる。驚いた、泣いたでもいい。自分が発したものを受け取ってくれた人の中で、何らかの喜びに変わってくれることが大切だと思うんです。
いわば「他人の喜びによってようやく自己実現が達成される」とも言えます。その点において政治家とは究極の職業と言えるかもしれませんね。
柿沢 まさにその通りですね。人々の暮らしが実際に良くならなければ、政治家の目的は何も達成されません。
私は今回、本当にゼロからスタートさせていただきます。具体的に行動することで、人に勇気や活力を与えられたらいいと思います。やっぱり自らが行動することこそメッセージだと思うんです。自分の足で立って、自分の思いを正面から発して皆さんに受け止めていただくという、政治家が本来やるべき当たり前のことを、一つ一つ、ゼロからコツコツとやっていきたいと思います。その中で皆さんの生活が少しずつでも良くなっていけばいいと思います。遠回りに見えても、それがいちばん理解して頂ける方法だと思っています。
都議時代を含め、今まで一生懸命やってきたことには誇りを持っていますが、それもいったんゼロにリセットして、身を捨てる覚悟で取り組んでいきたいと思います。
別所 柿沢さんとは友人ですが、それはそれ(笑) 政治家に大事なのはまずは政策です。どんな政策を掲げて取り組むのか、公平な目で、興味を持ってみています。
~別所哲也氏から柿沢未途へのメッセージ~
「これからの未来を期待する人物として、柿沢未途さんの友人としてやってきました。苦い経験の後で、まだまだ苦言などに揉まれていると思いますが、そこからいろいろと吸収して成長する人だと思っています。
こうした状況の中で意を決して何かやろうとするのは、あらゆる向かい風を覚悟した上でのことと思いますので、その覚悟が本物かどうか、ぜひ皆さんの目で彼の言葉や具体的な政策をご覧になって、皆さんのために彼が何をやってくれるのかを見ていただくことがいいのではないかと思います。
ぼくは友人として、彼の生き様を見守っていきたいと思っています。」
別所哲也さん、ご多忙にもかかわらず、本当にありがとうございました。
1965年8月31日静岡県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1987年ミュージカル「ファンタスティックス」でデビュー。1990年、日米合作のハリウッド作品「クライシス2050」で映画デビュー。米国映画俳優組合(SAG)のメンバーとなる。1992年、映画「波の数だけ抱きしめて」「新・同棲時代」(共に1991年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また、数多くの映画・ドラマ・舞台などで幅広く活躍。
9月より、「コースト・オブ・ユートピア」、「レ・ミゼラブル」と、立て続けに大作・話題作の舞台に出演。
1999年より、日本初の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰。2004年には米国アカデミー賞公認映画祭に認定された。昨年、10周年を迎え、その取り組みから今年、観光庁「YOKOSO!JAPAN大使」に任命され、また、文化庁長官表彰を受けた。
別所哲也氏公式サイト→www.T-voice.com